私の兄弟はいじめや嫌がらせで不登校になりニートになった

ニート 兄弟
私にはニートの兄弟(姉)がいるのですが、過去の様々な理由により、今まで一度も社会で働いた経験がなく、アルバイトすらも出来ず、長期引きこもりに苦しんでいます。

近年若年層を中心にニートが増えており問題視されていますが、世間では、『ニート』というと、「やれば出来るのにただ 怠けているだけ」、「甘い」、「意欲がないだけ」、「本人のやる気でどうにでも変えられる」など、世間からの目や意見は 想像以上に冷たく厳しいものです。

確かに一生懸命働いている方々からすれば、怠けている等の厳しい意見もあって当然だと思います。

しかし世間のみなさんが想像している以上にニートの問題やその背景は複雑且つ深刻であることを、私の兄弟の体験談を通じて紹介していきたいと思います。

兄弟(姉)がニートになった背景

私の兄弟である姉は、幼少期の頃から大人しく、小学校、中学校、高校と理不尽ないじめや嫌がらせ、悪口等の目に人並み以上に多く遭い、対人恐怖症になってしまいました。

また高校で不登校になり、中退、その後は通信制高校に通い、卒業し、福祉系の大学に進学するも そこでも また なかなか人間関係が上手くいかず、1人ぼっちになってしまいました。

そして人数の多い大学でも嫌がらせや嘲笑にあってしまい、また、過去の小学校~高校までのいじめや嘲笑のフラッシュバックが この頃から多く出始め、幻聴が聴こえるようになり、精神も鬱になりどんどん病んでいきました。

鬱病の話や大学を辞めたい旨を親に相談しましたが、病気の理解もなかなか得られず、大学1~3年ぐらいまで 大学に行くふりをして、結局 行けず、どんどん単位を落としていき、留年になってしまいました。

これでようやく親も姉の苦しみを少しは理解出来たようで、その後運良くその大学のソーシャルワーカーの先生が姉を熱心に支えて下さり、他の学生と関わったり、ゼミや意見交流等も避ける方法や試験も別室受験等の大学側の配慮も頂いて、なんとか単位ギリギリで大学を卒業することが出来ました。

大学卒業後

ニート 兄弟
大学側と大学のソーシャルワーカーの先生の御協力のおかげで なんとか大学は留年1年で単位ギリギリで卒業出来たものの、その後は大学生活の疲れによる精神疾患悪化により、就職どころではなくなってしまいました。

また、もともとの身体の弱さもあって、なかなか次のステップである就職には 踏み入れることが出来ず、5年、10年と次第に引きこもりが悪化し長期化しています。

現在も含めた兄弟(姉)の様子と引きこもりが生み出すネガティブループ

姉は大学卒業後すぐの時は、精神疾患を患いながらも将来就職や生きがいを見つけたいと思っていて、将来や就労に関する情報収集や見学に意欲的でした。

しかし現実は新卒から外れてしまった者、特に精神疾患をもった者の就職や就労は厳しいという実態を実際に聞いたり、それを自分自身でも目の当たりにしました。

そしてアルバイトでも自分に合う職種や働き方のものはないか、色々探したり、疾患を持ちながらでも自分に合った活き活きと働ける仕事や生きがいを探したりしていました。

また、ニートの相談機関も探したりしましたが、なかなか今の日本社会の働き方のシステムには姉には厳しいようでした。

ニートや引きこもりの相談機関は、どこも似たような「頑張りましょう!きっと乗り越えられます!」といった表面的なアドバイスや言葉ばかりでまったく役に立ちません。

姉はもともと学生時代から友達もいなかったせいか、相談出来る友達や有益な情報も見つからまま、どんどん塞ぎ込んでいきました。

テレビやSNSで同級生や同世代が普通に働き、活き活きと人生を謳歌している姿や、社会で活躍している人、結婚して子供も持って幸せに暮らしている人々を見ると、姉は自己否定感が強くなっていくのが見えました。

次第に「自分のこの世での存在価値がわからない」、「自分って何の為に生まれてきたのだろう、人にも社会にも必要とされず、役にたたないなら生まれない方が良かった」とそう口にすることが多くなってしまいました。

姉はどんどんネガティプループにはまり抜け出せなくなってしまい、次第に20代が終わる頃から就職や人生に関する諦めを悟り始めるようになりました。

以前のように将来や仕事に対する夢や希望も薄れていき、30代からは完全に、姉以外の普通の30代の方もそうだと思いますが、姉は「30代以降になってくると、人生の疲れと絶望、嫌でもこの先の自分の人生が見えてきてしまうんだよね…」と口にするようになり、現在の姉の姿は精神疾患もひどくなっていき、外にもほとんど出られなくなり、ほぼ家の中で寝たきり状態となってしまいました。

最後に

ニート 兄弟
冒頭でもお伝えしましたが、「ニート」は世間のみなさんから見ると、冷ややかなイメージを持たれる方も多いかもしれません。

しかし今回の私の兄弟の事例のように、ニートといっても様々な事情や背景、苦しみを持って生きている人も沢山いるのだと少しでも みなさんにお伝えさせて頂きたく、姉の体験談を書かせて頂きました。

特に1970年代の高度経済成長期以降、自由競争社会、自己責任論が加速化し、学歴が高い人や何かの能力に秀でた人ばかりが優遇され、そこから外れてしまった人や姉のような病気や障がいを持っている方々は どんどん社会から見捨てられてしまいました。

疎外され、生きにくい社会になり、また、生きがいや働きがい、社会で活躍出来る場や機会、情報も まだまだ少なく、ますます格差社会は広がってきています。

ニートは個人個人で事情やそうなった背景は様々でしょうが、「ニートは怠け」とか「甘い」等で切り捨てるのではなく、その人その人の可能性を見い出していけるような社会になれば、ニートの活躍の場が増え、逆に日本社会も新たな可能性や活性化に繋がるのではないかと思いました。

私の姉も中々これからの人生、一筋縄ではいかないと思いますが、少しでも残りの人生、活き活きと生きてくれる様、同じ兄弟として私も傍で見守りながら支えていきたいと思います。

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